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「どこからでも働ける」をいま一度考える

Mary Pendleton

2025年3月4日

この対談イベントは、Remote Workers Worldwide(リモートワーカーズ・ワールドワイド)のグループ創設者である Mandy Fransz 氏が mmhmm の Jeremy Yuan と対談する形で開催され、ポルトガルとタイという全く離れた別の場所から参加した 2 人が、リモートワークの進化と「どこからでも働ける」ことの意味について貴重な洞察を共有しました。

最も興味深いリモートワークの場所

Fransz 氏が最も印象に残っているリモートワーク体験として語ったのは、ポルトガル沿岸のなにもないところでキャンピングカーに閉じ込められた時の話でした。24 時間足止めされたものの、安定した WiFi のおかげで仕事のミーティングをこなすことができたといいます。その冒険心は Jeremy にも共通しており、彼は 1 年ほど前に「衝動的に」ヨットを購入し、デジタルノマドライフを満喫していると語りました。

Jeremy は航海中のインターネット接続に Starlink を使用しており、「基本的には満足しているけど、もっと選択肢が欲しい」と語ります。どこでも働ける「モバイルなライフスタイル」を検討している人にとって、必要な技術はすでに揃っている、というのが 2 人の一致した意見です。

リモートワーク初心者への必須アドバイス

リモートワークを始めたばかりの人に向けて、Fransz 氏はコミュニティの重要性を強調します。「同じ志を持つ人たちに囲まれることが重要。なぜなら、たった 1 つのつながりから適切なチャンスが得られるかもしれないからです。」8 年間リモートワークを続けてきた彼女は、リモートワーカーズ・ワールドワイドのようなオンラインコミュニティや、対面のミートアップの両方が、孤立を防ぎ、他の人の経験から学ぶために重要だと言います。

Jeremy は、時差に対応する柔軟性がリモートワークのキャリアに大きな違いをもたらすと述べます。アメリカやヨーロッパに住むチームメンバーと協力しながらアジアで働く彼は、しばしば午前 3 時半や 4 時にミーティングを行うことも。「リモートワーカーは忘れられてしまいがちなので、定期的な同期が大事。」

また、Jeremy は実用的なヒントとして、ホテル予約のコツも紹介しました。「泊まろうとしている滞在先の過去の宿泊客のコメントをチェックする」ことで、生産的に働ける環境かどうかを確認し、デスクの設備や照明、WiFi の信頼性を事前に把握するのがポイントです。

リモートワーカーの必携デジタルツール

2 人は必須デジタルツールを以下のように共有しました。

Fransz 氏のおすすめツール:

  • LinkedIn:プロフェッショナルな世界での人脈作りと知名度維持のためのプラットフォーム
  • Krisp:会議中のバックグラウンドノイズをカットするオーディオツール。ビーチバーや共有スペースなど、騒がしい環境で仕事をするときに最適
  • World Time Buddy:異なるタイムゾーンでのスケジュール調整をスムーズにするツール

Jeremy のおすすめツール:

  • mmhmm:私たちのことです!ライブでのビデオ会議や録画を強化し、リモートワークを支援するビデオツール
  • モバイルルーターなどのモバイルホットスポット:旅行中のインターネットバックアップとして追加料金を払う価値あり
  • AirPods Pro:歩きながらでも会議に参加できる、ノイズキャンセリング機能と携帯性に優れたワイヤレスイヤホン

効果的なモバイルオフィスの作り方

小さな家、キャンピングカー、ヨットなど、小さなスペースで仕事をするには、賢い機器の選択が必要です。

Fransz 氏は「エルゴノミクス(人間工学)は妥協できない」と言い、どこでも良い姿勢を保つために NexStand などの折りたたみ式のラップトップスタンドと適切なマウス・キーボードの使用を推奨します。常設の環境を整えられるなら、スタンディングデスクや人間工学に基づいた椅子への投資も検討すべきです。

Jeremy はビデオ会議用の照明の重要性を強調し、コンパクトなライトと折りたたみ式三脚を持ち歩くといいます。壁に反射させるとより美しい効果を得られるとのこと。また、整理整頓も重要だとアドバイスしています。「ケーブルやテクノロジー機器の整理収納をしっかりすること。旅行関連書類の管理と同じです。 」

また、二人とも、定期的に作業環境を変えることで生産性と創造性の維持に役立つと考えています。クリエイティブな作業はカフェで、集中力が必要な仕事をするときは静かなスペースで。

リモートワークの見えない課題

Fransz 氏と Jeremy は、あまり語られないリモートワークの課題にも触れました。

  • 孤立:意図的な努力がないと、 同僚との人間関係を築きにくい
  • 税務処理:働く国が複数にまたがると税務処理が難題に(Fransz 氏はエストニアの e-Residency プログラムを推奨)
  • キャリアの制約:オフィス回帰の流れの中、リモートワークに固執すると選択肢が狭まる可能性も
  • 境界の設定:仕事とプライベートを分けることの難しさ。例えば、友人や家族がリモートワークの拠点を訪れる場合、相手はあなたを「休暇中」と捉える可能性も

リモートワークの未来

オフィス回帰の動きがある一方で、2 人はリモートワークの未来について楽観的です。

Fransz 氏は、スタートアップ企業、特に意図的に分散型企業として設立された企業は、リモートファーストの文化を受け入れ続けると信じています。「最初から完全リモートビジネスとしてビジネスを立ち上げた企業であれば、リモートでも成長もしやすいし、適切なインフラを整えるのも簡単です」と指摘します。

一方、Jeremy はオフィス回帰の流れに対して「むしろ良いことだと思う」と、挑戦的な見方をしています。彼は、優秀な人材が従来の企業を離れてリモートネイティブの新興企業を設立することで、この動きはイノベーションを加速させるかもしれないと指摘。「今後数年で、リモートネイティブな企業がたくさん誕生することを期待しています」と述べました。

また、二人ともリモートワークがすべての人に適しているわけではないことを認識しており、将来的には画一的な働き方に統一されるのではなく、さまざまな形での柔軟性が求められるだろうと考えています。

夢のリモートワーク先

対談の最後に、2 人の夢のリモートワーク先を語りました。すでにヨーロッパ、アジア、アメリカ大陸の多くの国で働いている Fransz 氏は、船上での生活に興味があると言います。一方、Jeremy はマレーシアのボルネオ島、特にサバ州とサラワク州などの人が少ない場所に航海することを夢見ているそうです。

最後の提案は「ホームエクスチェンジ」、つまり、Fransz 氏のポルトガルの小さな家と、Jeremy の東南アジアのヨットを交換すること。多くの人がリモートワークに魅力を感じる理由「冒険心」を象徴する締めくくりとなりました。