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タメラ・ミヤサトさん: 生徒と文化をつないで起こす教育の脱植民地化

Megan Miller

2020年10月20日

タメラ・ミヤサトさんの使命は、シンプルですが壮大なものです。それは、学校で先住民の生徒たちに自分たちの文化、言語、歴史を教えるということ。パンデミックの影響で口承の伝統を守ることが難しくなりましたが、ミヤサトさんはビデオツールを使って仕事を続け、さらには視聴者数を拡大させました。フランドロー・サンティー・スー族の一員であり、2014 年から教師をしている彼女は、「教育の脱植民地化」を熱心に推進してきました。ミヤサトさんにとって「教育の脱植民地化」とは、先住民の生徒向け教育に対する考え方やアプローチを変え、文化的アイデンティティを取り戻し、向上させることを意味しています。

mmhmm と同様、彼女の読書会「Indigenous Storytime」はパンデミックの最中に誕生したもので、先住民教育者であるブリアンナ・ルボー(Breanna Lebeaux)、ジョニータ・ホワイト・アイズ(Jonita White Eyes)、エレイン・ロック(Elaine Locke)、ジェニファー・イーストマン(Jennifer Eastman)、ヘザー・ダールグレン(Heather Dahlgren)などの作品が含まれています。また、マーラ・サンダー・ブル(Marla Thunder Bull)とブルー・ドーン・リトル(Blue Dawn Little)もラコタ語の専門知識をこの会に提供しています。先住民族の言語や価値観を中心とした物語を共有することで、この読書会は学校の環境では得られない、文化に触れる機会を子供たちに提供しています。

若い学習者の社会的、精神的な健康・幸福度を向上するためにはこうした機会が重要です。そのためにテクノロジーの力を活用することについて、ミヤサトさんにお話を伺いました。

(日本語字幕をオンにしてご覧ください。)

Indigenous Storytime は素晴らしいと思います。

これはコロナウイルスへの対応策でした。私は学習スペシャリストとして、パインリッジ・インディアン居留地にあるレッド・クラウド・インディアン・スクールで働いています。私が育った場所であり、卒業した学校です。私は「Title I Reading and Math」と呼ばれるアメリカ政府が提供するプログラムで彼らをサポートしています。コロナウイルスが流行し始めて、私たちはサウスダコタ州の他の学校よりも一週間ほど前に授業のオンライン化を決めていました。その混乱の中で、それがどのようなものになるのかよくわからなかったので、とりあえず本を読んでみるのはどうかなと思ったんです。参加者は毎日一緒に本を読むだけ。そうやってスタートしたのですが、急成長しました。800 人の会員が、たった 2 日で  1400 人近くにまで増えたんです。

コロナウイルスは、教育のあり方を見直すための後押しになるととらえることもできると思います
拳と鉛筆が入ったイラスト

教育開発の仕事について教えていただけますか?

私が注力しているのは、ラコタ族や先住民族の文化を教育システムに取り入れることです。学ぶ内容に自分たちが登場すると、また、先住民族の学習スタイルや指導方法を活用すると、先住民族の学習者はよりよく理解することができるという研究結果がたくさんあります。少なくともサウスダコタ州では、先住民族の生徒は卒業率、出席率、学業成績の面で大多数の生徒に遅れを取り続けています。

私たちはラピッドシティ内の協定地に位置しています。1868 年のフォート・ララミー協定に基づく私たちの土地であり、1980 年、連邦最高裁判所はここが私たちの土地であることを確認しました。要するに、この土地においては先住民でない人たちがゲストだ、ということです。ですから、お願いしたいのは、私たちの教育システムには私たちが登場するようにすること、そして学習者への公平な機会を後押しをしてほしいということです。

先住民族の学習スタイルや指導方法を活用すると、先住民族の学習者はよりよく理解することができます
赤と黒の紐を手首に巻いた腕

それがずっと私の原動力になっています。レッドクラウドを卒業してノートルダム大学に進学しましたが、当時はそうした学習環境の準備はできていませんでした。しかし、私は家族や母に強い文化的教育を受けてきたので、成果をあげることができました。もちろんチャレンジはありましたが、なんとか乗り切りました。このような文化的な経験を生徒に提供することは、学業や成績向上に役立つだけでなく、強い文化的なアイデンティティを築き、環境に適応するための強固な基盤を築き、私が「外の世界」と呼んでいる居留地を離れた世界で生きていくことにも役立ちます。

mmhmm では、人々が自分の話をより良く伝えられるように様々な視覚的ツールを提供することで、「つながり」を生み出そうとしています。お互いが横に並んで座ることができないこの時期に、生徒と先生の間、あるいは生徒の生きた経験とカリキュラムの間で、そのような「つながり」を作るのに  mmhmm は役立っているでしょうか?

もちろんです。正直に言うと、このつながりこそが Indigenous Storytime の支持者が増えた理由だと思います。私たちの会員数が増えてきたのは、mmhmm を利用した最初の動画を公開してからのことです。この 3 ヶ月の間、レッドクラウドからバーチャルで発信してきましたが、今後もこの技術を使って学習者とつながりを持っていきたいと思っています。これは私が勧めてきたプラットフォームです。たくさんのルームがあるのを見て、学習者を中心に考えたルームを自分で作成できることにとても興奮しました。つながりを作るための素晴らしいツールだと思います。

テクノロジーをどのように活用しているのか、また、現在バーチャル学習にどのようにアプローチしているか教えてください。

私は一人一人にカスタマイズされた学習の信奉者です。脱植民地化の話に戻ってきましたね。私たちは今、教育の方法を変えなければなりません。遠隔教育とコロナウイルスによって、それがどのようなものになるかを考えざるを得ない状況になりました。私個人的には、学習者に選択肢を与えるという方法でテクノロジーを取り入れてきました。

1 日 7 時間も子供をコンピューターの前にしばりつけることは不可能です。では、どのようにして学習の機会を作りだし、それを最大化できるのでしょうか。私は、「Happy Numbers」というゲームアプリを利用したり、「画面を共有してくれる?さあ、一緒に勉強しましょう」といった感じで Zoom を使って学習者とつながったりしています。

私がよく耳にする課題の一つに「バーチャル学習では子供とのつながりができないので本当につまらない」というのがあります。「子供たちの様子がわかりません。ビデオカメラをオンにしていてくれないと、子供たちがどうしているか見えないですからね」と。精神面の健康状態を確認できるようなつながりを作る方法を模索することをお勧めしています。 

私は、コロナウイルスは、社会的な交流を奪った恐ろしいものとして見ることもできるし、一方で教育のあり方を見直すための後押しになるととらえることもできると思っています。

(このインタビューは実際の発言を編集したものです。)