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Esotouric のリチャード・シェイブさんとキム・クーパーさん:ロサンゼルスの隠れた魅力を巡るツアーガイドのバーチャルツアー対応

Ganda Suthivarakom

2020年12月4日

ロサンゼルスを拠点とする Esotouric のキム・クーパー(Kim Cooper)さんとリチャード・シェイブ(Richard Schave)さんのガイド付きツアーに人々が繰り返し参加する人気の理由は明らかです。彼らは 10 年以上にわたり、あまり知られていないロサンゼルスに関する深い知識で、歴史ファンを魅了してきました。ツアーガイドは、街に関する有名な話だけでなく、もっと様々なことを語れるはずです。クーパーさんとシェイブさんは、活動家であり、保護活動家であり、歴史家であり、ロサンゼルスの秘密の歴史を人々に語ることに生き甲斐を感じる、自称 「不要に高い学歴」を持つツアーガイドです。彼らは、フリーマーケットで売買される秘密の Batchelder タイル、歴史上有名なスキッドロウでの労働運動と爆弾製造、そして 21 世紀の不動産詐欺についての生々しいストーリーなどを紐解いてきました。その代わり、ロサンゼルスドジャースの豆知識は彼らの得意分野ではありません。

人々が集まることを制限されているパンデミックの中、Esotouric は彼らのビジネスモデルを作り直さなければなりませんでした。ユニークで魅力的なバーチャル歴史ツアーにおいて、mmhmm がどのようにツアーのファンとの関係を維持するのに役立っているかについて、シェイブさんとクーパーさんにお話を聞きました。

Esotouric のビジネスを始めたのはいつですか?

キム・クーパーさん(以下、クーパーさん):Esotouric という社名で始めたのは 2007 年でしたが、その 1 年ほど前から、この実録犯罪ブログを読んでいる人たちのためにツアーを始めました。私たちはロサンゼルスの人里離れた場所についてのブログを書いていたので、ブログに出てくる場所に実際に連れて行ってほしいと頼まれたんです。グループで出かけて犯罪現場を見に行くというアイデアは、とても魅力的でした。

お客様のほぼ 9 割方がロサンゼルス地元住民であるという状況が、常に続いていました。私たちは、2 日しかここに滞在しない人たちにロサンゼルスで最高の場所を教えようとしているわけではありません。すでにこの街に愛着を持っていて、この街のことをよく知っていると思っている人たちに、新しいものを見るチャンスや、この街について語る新しい方法を提供したいと思っています。そして当初から、歴史の保全は私たちの目的の大きな部分を占めています。

この 9 ヶ月でお二人のビジネスは大きく変わりましたね。ウェビナーを始めようと思ったきっかけは?

リチャード・シェイブさん(以下、シェイブさん)選択の余地はありませんでした。4 月から 6 月くらいはまだ幸せな時期だったと思います。なにしろ当時、一人あたり 300 ドル、20 人のディナーを夏の終わりに計画していたくらいですから。でも、もちろんそれは実現しませんでした。カリフォルニア知事がレストランの再開を宣言したあと、すぐにまた閉鎖してしまったからです。もうこれ以上現実から目を背けることはできないと気づいたのは、6 月の初め頃だったと思います。

クーパーさん:私たちはバーチャルでツアーを組むことにずっと抵抗がありました。よく聞かれますが、私たちがやっていることの重要性は、歴史を愛する仲間達と集まって実際に遺跡に行く機会を作ることにあると感じていました。でも、Esotouric のファン同士が一緒に集まりたいというニーズがあるのがわかりました。ですから、私たちはそれがどんなものになるかを考えてみようと思ったんです。

制作にそれほど手間をかけないデジタルツアーがどのようなものかを調べ始めたとき、とても不安になりました。市議会の会議にビデオで参加していますが、いつも同じような光景を目にするだけです。退屈ですし、むしろ嫌悪感を抱きます。私たちは、いつもと違うもの、楽しいと感じるものを提供しなければならないと思っていますし、それ以上に、時間を忘れて、非日常な場所に行くと感じられるようなものを提供しなければなりません。

70 年代に撮影されたライマート・パークの画像の前にいるクーパーさんとシェイブさん

ツアーバスでは見せられない、バーチャルツアーでの見せ方はありますか?

(シェイブさんがビデオ通話で背景に 1970 年代の写真を表示しながら)

クーパーさん:これはブラック・ダリアとして知られる、ベス・ショートの遺体が発見された、1971 年のライマート・パークです。この界隈は当時から大きく変わっってしまったので、1971 年当時の写真があるのは素晴らしいことです。ごく普通の場所なので、普通は写真に撮られない場所です。でも 71 年に LA タイムズ紙がたまたま記事を書いていて、このように記録されていたんです。私の頭上あたりにはハリウッド・サインが見えますね。ツアーではここに行き、周辺を歩きます。このエリアは大型バスでは通りませんが、遺体が発見された場所にはツアー客のみなさんをお連れします。

ライマート・パークでの Esotouric ツアー風景

そしてトンネル。みんな見たがるのですが、小グループで数回しか入ったことがありません。このトンネルへのアクセス許可をとるのはとても難しいんです。

シェイブさん:でも見てください。これはウェビナーの素晴らしい例です。この後ろにあるのは 2 週間前のウェビナーで、ロサンゼルスの地下について説明したものです 

ロサンゼルスダウンタウンの地下トンネル

クーパーさん:ツアーのグループを地下に連れていくことに対して所有者の同意を得るのに 10 年ほどかかりました。そして、「このためにお金を請求するつもりはありません、なぜなら適切な保険がないからです」と伝えました。無料にすれば、誰もが自己責任だと理解してくれます。

みんな行きたがっていましたから、1 人あたり 100 ドルくらいの料金を請求できたかもしれません。でも、誰もがあのスペースを見たがっていたので、無料にして、その機会を提供した方が良いと思いました。ダウンタウンからシルバーレイク、グレンデールに向かって走っていた古い地下鉄です。1,000 人のキャンセル待ちがあったと思いますが、100 人強の人たちを地下に案内することができました。本当に素晴らしかったです。

シェイブさん:私たちがこれをできたのはたった一度だけでした。不動産を売ろうとしていた所有者に、私たちを中に入れてくれるようにお願いするのにかかったのが、文字通り 10 年。そして、警備員の方が私たちを中に入れるためにかかったのは  20 分です。信じられないほど複雑なプロセスで、今は所有者が変わってしまい、空間に入れる人数が 2 人くらいになってしまったので、このツアーはもう二度と行うことができません。

クーパーさん:本当に難しいです。でも、将来いつか、このスペースはまた活性化されるでしょう。しかし、バーチャルで人を連れて行くことができるのは、私たちにとって本当に新しいことです。人々がいつか行ってみたいと思う場所のリストに載っているところに、連れて行くことができるのです。そして、より多くの人と共有することができるようになりました。

シェイブさん: でも見ての通り、ウェビナーはこれが簡単にできるので、本当にすごいですよ。

mmhmm はどうやって見つけたんですか?

クーパーさん: リンクを見つけて、いくつかのビデオを見ました。これは市議会のビデオ会議とはちょっと違うな、と思いました。実際、私たちが持っている映像資料を使えば、何かとてもクールなことができるのではないかと思いました。

シェイブさん:Esotouric  の非公式の流儀は「ゲーデル、エッシャー、バッハ」という本と同じです。クルト・ゲーデルはドイツの数学者で、論理システムは本質的に有限であり、本質的に影響を受けやすいと言っていました。というのも、レコードプレーヤーを壊すレコードを作ることができるからです。mmhmm のロゴ(「ゲーデル、エッシャー、バッハ」の表紙にある図とちょっと似ています)を見たとき、私は「ああ、そうだ、レコードプレーヤーを壊すレコードだ。私たちはそういうソフトウェアを使っているんだ」と思いました。レコードプレーヤーを壊すレコードこそ Esotouric なんです。

クーパーさん:普通のバスツアーとは違います。都市によっては、当局の承認を得ない限り、ツアーを行うことができません。ワシントン DC やニューヨークのような都市では、非常に限られた範囲で、しかもメッセージをコントロールしようとしているのです。しかし、市民の自由と言論の自由に焦点を当てた法律事務所があり、こうした都市を訴えています。

シェイブさん:法律はアルゴリズムですよね?条例はアルゴリズムなんです。 Esotouric は公的に認められたツアーガイドのための考えられうるすべてのアルゴリズムを破っていきます。

Esotouric は公的に認められたツアーガイドのための考えられうるすべてのアルゴリズムを破っていきます。

クーパーさん:ツアーを始めてから見てきたことは、ロサンゼルスのすべてが崩壊してしまったということです。崩壊は今に始まったことではありません。しかし、寄生虫のように振る舞い、それで利益を得ている間、住みやすい街を作ることを拒否するのは、狂っています。でも、このような話をどうやって伝えるかは難しいのです。なぜなら、ツアーに参加して、もしあなたが現実から逃げたいと思っても、私たちにはそれはできないからです。でも、少しだけでも理解はしてもらえると思っています。

(このインタビューは実際の発言を編集したものです。)